カマキリと聞くと、
・「昆虫界のハンター」
・「無敵の捕食者」
なんてイメージを持つ方も多いかもしれません。たしかに鋭いカマと素早い動きで、バッタやセミなどを一瞬で仕留めるその姿は圧巻。
でも実は…
そんなカマキリにも、思いもよらないほどの天敵がたくさんいるんです。
特に生まれたばかりの赤ちゃんカマキリや卵の状態では、ほぼ“狙われ放題”。成虫になってからも、上空・地面・水中と、あらゆる場所から脅威がやってきます。
ということで今回は、カマキリが一生をかけて向き合う「天敵たち」の実態を、成長段階ごとに詳しくご紹介。ちょっと怖いけど…驚きのエピソードも登場しますよ!
カマキリの天敵!実は成長ごとに天敵がいる
カマキリは「卵 → 幼虫 → 成虫」という三つのステージで生きています。実は、それぞれの段階で、襲ってくる敵も変わるんです。では、順番に見ていきましょう。
成長段階ごとの天敵チャート
まずは、カマキリの一生にどんな敵が待ち構えているのか、パッと見で分かるようにまとめたチャートをご覧ください👇
成長段階 | 主な天敵 | 脅威の内容 |
---|---|---|
卵期 | 寄生蜂(カツオブシ・コバチなど)、アリ | 卵鞘の中に寄生、または直接食べられる |
幼虫期 | アリ、スズメバチ、クモ | 小さくて動きが鈍い時期に集団で襲われる |
成虫期 | 鳥類、トカゲ・ヘビ、スズメバチ、寄生虫(ハリガネムシ) | 空から・地上から・内部からと三重苦 |
表を見るだけでも、カマキリの人生がいかに“敵だらけ”なのか伝わってきますよね…。それでは、それぞれのステージでどんなドラマがあるのか、もう少し詳しく見ていきましょう!
▶卵期(卵鞘):生まれる前から過酷なサバイバル
カマキリは、泡のような卵鞘(らんしょう)に100個前後の卵を産みつけて次世代を残します。見た目は硬くて強そう…ですが、じつは寄生虫にとっては「ごちそうの宝箱」なんです。
- カマキリタマゴカツオブシやオナガアシボトコバチなどの寄生蜂は、この卵鞘の中に自分の卵をこっそり産みつけます。そして、孵化した幼虫がカマキリの卵を中から食べてしまうのです…。
- さらに地上に落ちた卵鞘を見つけたアリの集団は、運び出して分解。容赦ありません。
まだ殻の中でじっとしているだけなのに、すでに命の危機。昆虫界、甘くないです。
ちなみに、卵を産んだ後についてはこちらで徹底調査しましたよ~↓
▶幼虫期:いちばん命を落としやすい時間帯

生まれてすぐのカマキリ(幼虫)は、サイズも豆粒ほどで、動きもまだヨチヨチ。そのため、あらゆる敵に見つかりやすくなります。
- アリ:地面に落ちた瞬間から、たった数匹でも十分脅威。団体戦でじわじわ襲ってきます。
- スズメバチ:空から急降下。スピードもパワーも桁違い。
- クモの巣:細い足がもつれてしまい、そのまま動けなくなって餌食に…。
何百匹も生まれても、成虫になれるのはほんの数匹。自然界って、想像以上に過酷なんです。
▶成虫期:強くなっても“安全”じゃない
立派なカマキリに成長しても、油断は禁物。空にも地にも、さらには体の中からまで、敵はやってきます。
🐦 鳥類:空のハンターたち
スズメやカラスなどの鳥類は、カマキリにとって最も脅威的な存在。
葉っぱの影に隠れていても、空から一瞬で見つけてパクリ。
あの大きなカマでも、鳥にはほとんど通じません。
🦎 トカゲ・ヘビ:足元の忍者
地上を歩いていると、物音ひとつ立てずにトカゲが近づいてきます。
カマキリが気づいた時にはもう遅くて、カプッ。
ヘビも同様。視界に入らず近づける彼らは、カマキリの天敵として侮れません。
🐝 スズメバチ:空中バトルの強敵
とくにオオスズメバチのような大型種は、カマキリと張り合うどころか、完全に押し切るほどの力を持っています。
空中でのバトルは、カマキリにとっては分が悪い相手です。
🪱 ハリガネムシ:静かなる侵略者
見えない敵こそ、いちばん怖い。ハリガネムシは、カマキリの体内に寄生して、脳に働きかけて行動を操ります。
結果、カマキリは水辺に向かって歩き出し、自ら水に飛び込むという不思議な行動を起こします。
…この寄生虫、かなり恐ろしい存在です。
💬 ひとことまとめ!
カマキリの人生、敵が多すぎてびっくりしますよね。
たとえ“狩る側”の昆虫でも、油断していたらすぐに“狩られる側”に転落してしまう…。
そう考えると、私たちが自然の中で見かける1匹のカマキリも、たくさんの困難を乗り越えてここまで生きてきた、立派なサバイバーなのかもしれません。
この生物と戦わせたらどうなる!? カマキリ vs ○○!

・「カマキリvsスズメバチってどっちが強いの?」
・「ヘビとカマキリが出会ったら?」
誰もが一度は妄想する“夢の対決”。ここでは、自然界で実際に起きたバトルから想像をふくらませてみましょう!
【カマキリ vs スズメバチ】
意外と接点の多いこの2匹。結果はというと…ズバリスズメバチの勝ち。
カマキリが構える前に、空中から狙い撃ち!反撃できずにやられてしまうパターンが多め。でも、たまにスズメバチを逆に捕まえる映像もあるので、ワンチャンはあるかも?
【カマキリ vs カエル】
こちらはサイズにもよりますが、基本的にカエルの勝ち。ジャンプ→舌ビシッ!で一瞬のうちに捕食されることも。でもまれに、目の前にいたカエルに猛突進して捕まえたという事例も!自然界、なにが起こるか分かりません。
【カマキリ vs ネズミ】
これはさすがに…と思いきや、なんとカマキリがネズミの頭に飛びついたという目撃情報も。ただ、その後すぐに振り落とされて逆襲されてます。

結論:無理しない方がいい相手ですね(-_-;)
自然と共に生きる「天敵とのバランス」
カマキリとその天敵たちは、一見すると敵対関係にあるように思えますが、実は自然界の中で絶妙な“バランス”を保っています。ここではその関係性をわかりやすく表にまとめ、さらにその裏側にある自然の仕組みを紐解いてみましょう。
カマキリと天敵たちの“生態バランス”相関図
天敵の種類 | カマキリへの影響 | バランスの役割 |
---|---|---|
スズメバチ | 幼虫や小型成虫を捕食 | カマキリの個体数を自然にコントロール |
鳥類(モズなど) | 成虫を捕まえて食べる | 食物連鎖の上位に位置し、生態系の安定化に寄与 |
カエルやトカゲ | 幼虫や小型成虫を捕食 | 水辺におけるカマキリの分布を調整 |
他のカマキリ | 共食いで弱い個体を淘汰 | 種の強化、生存競争による進化の一端 |
寄生バチ・寄生バエ | 卵や幼虫を標的にして寄生 | 数の増えすぎを抑え、他種とのバランスを維持 |
食う・食われるの関係にも「役割」がある
自然界では、「強いものが生き残る」というだけでは成り立ちません。むしろ、“適度な捕食”があるからこそ、生態系は健全に保たれています。

例えば、「もしカマキリの天敵がいなかったら?」
カマキリが増えすぎて、今度はバッタやチョウなど他の虫たちが食べ尽くされてしまうかもしれません。その結果、植物の受粉がうまくいかなくなったり、他の動物の食物が不足したりと、思わぬ影響が広がってしまうのです。
天敵は「敵」ではなく、自然のパートナー
天敵という言葉だけ聞くとネガティブな印象がありますが、カマキリにとっても、私たち人間にとっても、彼らは自然の“パートナー”のような存在です。
ほどよい緊張感の中で、お互いに進化し続ける。それこそが、地球上のいのちをつないでいく大きなしくみの一部なんですね。
<ちょこっとコラム:共存のヒントは“森”にあり?>
実は、森や林の中では、捕食と被食の関係がほどよく成り立ち、特定の生き物だけが異常に増えるような現象は起こりにくいんです。
それは、多様な天敵と被捕食者がいることで、お互いの数が自然に調整されているから。
言い換えれば、「いろんな生き物が混ざってるからこそ、うまくいく」んですね。
Q&A:カマキリの天敵、意外と知られてないホントの話
Q1|カマキリって最強じゃないの?
→実は「強そうに見えるだけ」だったりします。
確かに、あの鎌で獲物を一瞬で仕留める姿はインパクト抜群。でも、あくまで自分より小さな相手に対しての話。鳥類や哺乳類、大型の昆虫が相手になると一気に不利に。特に背後から襲われると、あの鋭い鎌すら意味を成しません。自然界には「1対1の真剣勝負」なんてルールはなく、気を抜いた瞬間に狙われる…というのが現実です。
Q2|鳥やカエルにどうやって捕まるの?
→意外にも「上からの奇襲」や「忍び寄るトリック」が多いんです。
鳥は視覚が非常に優れており、カマキリの保護色も完全にはカバーできません。特に動いた瞬間や羽を広げた瞬間は目立ちやすく、捕食のチャンスになります。カエルは地面にじっとしてからのジャンプが武器。「まさかここに?」というような場所からパクリとやられてしまうことも。自然界の捕食者は、人間の想像以上に「待ち伏せのプロ」なのです。
Q3|幼虫のときはどう身を守ってるの?
→「動かない」「草に紛れる」「とにかく逃げる」この3段構えです。
カマキリの幼虫は小さくて非力。羽もなく飛べないので、天敵に狙われたら逃げるしかありません。なので、生まれたばかりの幼虫たちはとにかく静かに、目立たずに過ごします。また、周囲の草に擬態するような姿で隠れたり、少しでも異変を感じたらススッと移動することも。派手な攻撃ではなく、忍耐と警戒で生き延びるタイプなのです。
Q4|天敵が多いと絶滅しない?
→むしろ「多すぎないように抑える存在」として重要なんです。
カマキリは肉食なので、もし天敵がいなければ小型昆虫をどんどん食べつくし、生態系のバランスが崩れてしまう可能性があります。自然界では「捕食される側」と「捕食する側」の数が絶妙に調整されており、カマキリの数も鳥や哺乳類によってコントロールされているのです。つまり、天敵は「悪役」ではなく、自然界の調整役なんですね。
Q5|逆にカマキリが天敵になることってある?
→はい、あります!しかもかなり貪欲です。
カマキリは本来は昆虫を中心に狩りますが、ときにはトカゲ、カエル、果ては小型のヘビやネズミにまで手を出すこともあります(かなり珍しいですが)。また、共食いも珍しくなく、ペアで飼育していたらオスがメスに食べられた…なんて話も多いです。つまり、カマキリもまた「誰かの天敵」として自然界で君臨している存在でもあるのです。
Q6|飼ってるカマキリに天敵って関係あるの?
→意外とあるんです、見落としがちな「家庭内リスク」。
家で飼っているからといって安心は禁物。例えば、脱走したカマキリがペットの猫や犬にじゃれられてしまったり、小さな子どもが興味本位で触ろうとして怪我をしたり。また、カーテンや観葉植物の間に紛れて、掃除機で吸ってしまった…なんてケースも。自然界の天敵とは違いますが、飼育下ならではの「注意すべき存在」がいることも覚えておきましょう。
Q7|外来種にとってカマキリは敵になる?
→場合によっては「ライバル」になります。
外来種の昆虫や動物が新しい環境に入ると、食べ物の奪い合いや縄張り争いが発生します。カマキリは地元に根ざした捕食者として、こうした外来種と対立することも。特に同じ餌(小型の虫など)を狙う場合、互いに干渉し合う存在になるのです。ただし、外来種の方が体が大きかったり数が多かったりすると、逆にカマキリが押されてしまうこともあります。
Q8|天敵に狙われやすいカマキリの種類ってある?
→色や行動パターンによって、明暗が分かれます。
たとえば「オオカマキリ」と「チョウセンカマキリ」。前者は大型で目立ちやすく、後者はスマートで動きもすばやい。オオカマキリはそのサイズゆえに、鳥の目にとまりやすく、空からの攻撃に不利という意見も。一方、色味が植物に溶け込むタイプのカマキリは、比較的発見されにくくなります。つまり、種類によって「狙われやすさ」がけっこう変わるのです。
Q9|天敵を避けるために進化した部分って?
→擬態とスピード、そして「警戒心」がレベルアップしてます。
カマキリは外見こそ原始的ですが、その生き残り戦略は年々洗練されてきています。草の色に合わせた擬態や、枯葉にそっくりな羽の模様、危険を感じたときに一瞬で移動する反射神経…。すべてが「天敵を避ける」ための進化といっても過言ではありません。また、ちょっとした物音にも反応するなど、警戒心も非常に強くなっています。
Q10|天敵のいない環境だと、カマキリはどうなる?
→増えすぎて、自分たちの首を絞めることに…。
例えば、温室や閉鎖的な施設で天敵がいない状態が続くと、カマキリは一気に繁殖します。しかし、餌の昆虫が足りなくなり、共食いが増加。結果として、個体数は自然と減少していきます。天敵がいないと一見「楽園」のようですが、実際には「自滅へのカウントダウン」が始まるのです。自然界のバランスの重要さが、ここでもよくわかりますね。
まとめ:カマキリの世界は「強さ」だけじゃなかった!
「カマキリ=強い昆虫」というイメージは、多くの人が持っていると思います。ですが実際には、卵のうから成虫までの各ステージでさまざまな天敵に狙われる、意外と“試練の多い”昆虫でもあるんです。
今回ご紹介したように、卵のう時代から寄生バチや鳥に狙われ、幼虫の時期にはアリやクモ、大型昆虫にも捕食され、成虫になっても安心はできず、鳥やコウモリ、果てはカエルや自分より大きな昆虫にさえ命を狙われる――。
一方で、彼らも「逆に捕食する」ようなシーンや、“食うか食われるか”の自然界でバランスを保ちながら生きていることがわかりました。
つまり、カマキリの強さは単なる捕食者としての能力ではなく、「天敵とうまくやりくりするしたたかさ」にあるのかもしれません。